WordPressの特権管理者(Super Admin)は通常の管理者とは異なり、ネットワーク全体の管理権限を持つため、削除が制限されることがあります。今回は、初期の特権管理者を削除する方法を解説します。
特権管理者の削除が必要になった背景
最近、WordPressのサイトで「サイトのロックアウト通知」というメールが多数届くようになり、「Too many bad login attempts」というメッセージが表示されるケースが増えています。これは、何者かが繰り返しログインを試みていることを示しており、以下の2つの可能性が考えられます。
可能性1:ユーザー名が漏洩している
何らかの理由でユーザー名が第三者に知られている可能性があります。一般的に、攻撃者は「ユーザー名+パスワードのリスト」を用いた クレデンシャルスタッフィング攻撃 を試みることがあります。
可能性2:ブルートフォース攻撃(総当たり攻撃)
ユーザー名が漏洩していなくても、攻撃者がランダムなユーザー名でログインを試み、その中で偶然存在していた可能性もあります。
今回、特権管理者(仮にAとする)を削除しようと考えた理由は、このような攻撃のリスクを低減するためです。
特権管理者の削除ができない原因
初期設定の特権管理者(Super Admin)は、そのままでは削除することができません。削除するためには、新たに特権管理者を追加して、初期設定の特権管理者を外す必要があります。
なお、特権管理者の権限を解除するためには、設定されているメールアドレスを変更しなければなりません。
特権管理者を削除する手順
以下の手順で初期の特権管理者(A)を削除できます。
1. 新しく特権管理者(仮にBとする)を追加する
- 「ネットワーク管理」→「ユーザー」へ移動
- 「新規追加」をクリック
- 新しいユーザーBを作成し、「特権管理者」に設定
- Bのアカウントでログインし、特権管理者権限が付与されていることを確認
2. Aでログインし、メールアドレスを変更する
- AのアカウントでWordPressにログイン
- 「ユーザー」→「プロフィール」を開く
- メールアドレスを別のものに変更し、保存する
- 変更したメールアドレスに届いた確認メールを承認する
3. Bでログインし、Aの特権管理者権限を外す
- Bのアカウント(新しく作成した特権管理者)でログイン
- 「ネットワーク管理」→「ユーザー」からAの情報を開く
- Aの特権管理者の権限を解除する
- 権限の変更が可能な場合には、「編集者」や「投稿者」に変更する
4. Aを削除する
- Bでログインしたまま「ユーザー一覧」を開く
- Aのユーザー名の横にあるチェックボックスを選択
- 「一括操作」のプルダウンメニューから「削除」を選択し、「適用」する
- Aのアカウントを完全に削除
特権管理者を削除すべき理由
特権管理者の権限を解除しただけでは、アカウント自体は残ります。しかし、ブルートフォースアタック(総当たり攻撃)などのセキュリティリスクを考慮すると、不要なユーザーアカウントは削除しておく方が安全です。
特に、初期の特権管理者アカウントをそのまま残しておくと、攻撃者に狙われやすくなる可能性があります。そのため、特権管理者の削除後は、適切なユーザー管理を行い、不要なアカウントを残さないようにしましょう。
まとめ
- サイトのロックアウト通知が増えた場合、攻撃を受けている可能性がある
- 新しくB(特権管理者)を作成する必要がある
- 特権管理者の削除には、まずメールアドレスの変更が必要
- BでAの特権管理者権限を外す
- Aを削除する際は「一括操作」から削除を適用
- 不要なユーザーを残さず、セキュリティリスクを最小限にする